精神疾患は治る?

精神疾患(こころの病)全体を見渡せば、正しく学んで治療すれば、お薬は効きやすく、症状は改善しやすいものです。良い支援を受ければ社会復帰もできると私たちは考えています。

精神疾患が治るとは、どういう状態でしょうか?

伝統的な診断基準には、急性、一過性、良性、慢性などの枕詞があります。
一過性で良性とは、すっと良くなって再燃・再発しないということです。

寛解と回復

精神疾患では、治療して症状が消えさった状態を「寛解」、さらに寛解が数カ月以上続けば「回復」といいます。お薬を飲んで通院していても、寛解、回復です。治癒や完治という言葉は正式には使いませんが、治療が終わり5年以上、症状がない人は、完治したと言えるでしょう。(ただし再発はあり得ます)

糖尿病や高血圧と比べてみましょう。同様に「完治」という言葉は使いませんし、通院治療を続けて、血圧や血糖値が安定すれば寛解と言います。生活習慣を変え、体質を改善し、治療を終えた方も、復職された方もいらっしゃいます。通その後、健診で問題がない間は完治していると言ってよいでしょう。

不安やうつが軽くなり、自分でコントロール可能になれば寛解ですし、復職される方も、通院を終える方もいらっしゃいます。

通院が終われば、年に一度のストレス健診(当院や会社のストレスチェックテスト)で、精神衛生の評価を続けると良いでしょう。

真の回復

精神疾患では、症状が改善し、概ね思い通りに行動ができ、家事や復職・就労など自分の居場所、所属するコミュニティができる事を「真の回復」と呼びます。しかし実際には、うっすらと頑固に残る症状も多いため、症状を完全に消し去る事よりも、社会生活を営むことの方が人生には重要です。

自分に出来る事や、得意なことから始める発想を「ストレングスモデル」と呼びます。「治る治らない」よりも、満足できているか、楽しめているか、といった考えの軸をより大切に考えてみてはいかがでしょうか。

家族や医療などの援助者は、当事者の自立を支援し続け、社会復帰を手伝います。社会復帰とは平たく言えば、仕事ができてお金を自分で稼げることです。(それに準じた家事や育児など、求められた役割を果たせる事も含みます。)

心の病の治療ゴールを社会復帰と捉えた時、復職をお手伝いする産業医学を学ぶ必要があると気付きました。職場にも少しずつ意識を変えていただき、活躍できる場所が増えれば、病気から回復できる人も増えます。

能力のぎりぎりまで頑張って働いている状態が続くと、疲れがたまり病状が悪化しやすいため、腹八分ならず心八分で、常に心のゆとりを意識してくださいね。